5579003032025000000-4テレビ用液晶パネルの大口取引価格が2024年5月以来、8カ月ぶりに上昇に転じた。トランプ米政権の関税引き上げを控えた駆け込み出荷を背景に、パネルメーカーと需要家による指標品の25年1月価格の交渉は前月に比べ2〜3%の上昇で決着した。市場関係者の間では、今後数カ月間にわたりパネル価格が上昇するとの見方が多い。

大口取引価格は、売り手となるアジアのパネルメーカーと、買い手となる国内外のテレビメーカーが月ごとに決める。

1月は大型品の指標となるTFT55型オープンセル(バックライトがついていない半製品)が24年12月に比べ2ドル(2%)高い1枚127ドル前後。小型品で指標となるTFT32型オープンセルは1ドル(3%)高い36ドル前後。いずれも直近は横ばい基調だったが、8カ月ぶりに上昇した。






トランプ米政権がカナダとメキシコからの輸入品に関税を課す方針を示したことで、関税発動前にメキシコから米国へテレビを輸出しようと、テレビメーカーが前倒しでパネルを購入する動きがみられた。テレビの生産拠点は、第1次トランプ政権下の対中関税を受けて、中国からメキシコに移す企業が増えていた。

24年のパリ五輪・パラリンピック観戦需要の一巡後、液晶テレビの販売は伸び悩み、パネル価格も下落。その後、パネルメーカーの生産抑制などで下げ止まっていた。ここにきて価格が上向いたのは、中国の消費喚起策の影響が広がってきたことも大きい。

中国では消費不振を受け、24年にテレビなど家電の買い替え時に補助金を出す政策が導入された。購買が回復し始めたことで、世界のテレビ向けパネル工場の稼働率は復調傾向にある。

米国の関税引き上げを見据えた駆け込み需要も加わり、市場では「2、3月まではパネル価格が上がりそうだ」(DSCCの田村喜男代表)とみる向きが多い。

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