202505_04スマートデバイスや自動車ディスプレイの常識を覆し得る、カナダ発のスタートアップが注目を集めている。VueReal(ビューリアル)は、独自開発の「マイクロソリッド・プリンティング(MicroSolid Printing)」技術で、マイクロLEDの量産という「不可能」とされてきた業界の壁を突破。透明ディスプレイ、自己発電型のスマートウォッチ、超薄型・高輝度のテレビ──。これらの革新的な製品を可能にするのが、同社の高度なマイクロ半導体製造技術だ。今回は、創業者兼CEOのReza Chaji氏に話を聞いた。

―VueRealはどのような課題を解決するスタートアップなのでしょうか。

 VueRealはマイクロLED(1辺が100マイクロメートル未満のLED素子)の量産化プラットフォームを開発する企業です。









 なぜマイクロLEDは注目されているのか。最新のスマートウォッチや車載HUD(ヘッドアップディスプレイ)、スマートウォッチなどのデバイスにおいては従来の液晶ディスプレイ、OLED(有機エレクトロミネッセンス)といったディスプレイで「野外では暗い」「消費電力を食いすぎる」という問題が発生しているからです。

 一方、マイクロLEDは無機LED素子で自然に発光するという性質上、消費電力が圧倒的に少ない。また、屋外でも自然に見えるほどの高精細を誇っています。

 マイクロLEDの「統合性」にも注目が集まっています。近年のデバイスにはカメラやセンサー、通信チップ、エッジAIなどさまざまな部品が組み込まれています。ところが、液晶ディスプレイやOLEDには直接これらの部品を集積することができません。多くの場合、センサーやカメラなどは別パーツとしてディスプレイの外に取り付けられています。

 反対に、マイクロLEDは素子が極めて小さく、点の集合体として構成されています。ディスプレイ上の空間や基盤面に、他のセンサーやエッジAI、カメラなどの部品を統合できるのです。つまり、マイクロLEDは単なる「新たなディスプレイ」ではなく、先端技術を詰め込んだ「統合基盤」になる能力があります。ディスプレイ自体が「見たり、測ったり、反応したり」できる、というわけですね。  

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