tc022_o
世界最大級のパネル製造企業「TCL CSOT」を傘下にもち、液晶テレビの世界シェア第2位を誇るグローバルブランドが「TCL」だ。

6月上旬、中国・広東省にあるTCL CSOT工場とTCL本社を巡るメディアツアーに参加し、パネル・テレビ開発に携わるメンバーや事業責任者らから新製品や日本市場での今後の戦略などについて話を聞くことができた。その模様を全3回にわたって取り上げる。

本稿では“液晶パネル”の生産場所、TCL CSOT工場と展示ホールの取材をレポートする。

Screenshot 2025-06-25 08.42.43TCL CSOT(TCL China Star Optoelectronics Technology/TCL華星光電技術有限公司)は、テレビからパソコン、スマートフォン、車載用ディスプレイ、業務用ディスプレイ、そしてAR/VRデバイス向けに様々なパネルを開発・製造・販売する企業だ。







会社設立は2009年。深圳(シンセン)でのT1・第8.5世代ラインの起ち上げを皮切りに、中国各地にパネル工場を次々に建設。

中国のBOE(京東方科技集団)やHKC(惠科股份)、また台湾のAUO(友達光電)、INNOLUX(群創光電)など、シェア争いを繰り広げるパネルメーカーが乱立する中、TCL CSOTは徐々に生産力・技術力を高め、ついにはサムスンディスプレイ(2020年)LGディスプレイ(2024年)が所有していた液晶パネル工場をも買収するまでに成長する。

これまでの投資総額は、業界トップクラスの約6兆円(2,600億元)。従業員数は37,000人を超え、現在では深圳、武漢、恵州、蘇州、広州、インドに11のパネル生産ラインと5つのモジュール拠点を有する世界No.2の液晶パネルメーカーになっている。TCL CSOTの強みが、世界最大規模のライン数とパネル製造能力の高さだ。

前述したとおり、TCL CSOTが抱える生産ラインの数は11。このうち大型テレビ向けの液晶パネル製造を担っているのが、第8.5世代ラインのT1/T2/T10、そして第11世代ラインのT6/T7であり、ひと月の生産可能枚数は合算で70万枚以上にも及ぶ。

ちなみに“第X世代”とは、マザーガラスの大きさのこと。第8.5世代ラインでは2,500×2,200mm、第11世代では3,370×2,940mm(※第10.5世代と呼ぶ場合もあるが、本稿ではTCL CSOTの呼称に準じる)もの巨大な一枚のガラスに対し、カラーフィルタやTFT回路などを形成しパネルを作製してゆく。



Read full article