August 29, 2025
未来を描く「インクジェット」~大河内記念技術賞の産業用印刷技術、無限の可能性~
スマートフォンや大型テレビ、デジタルサイネージに用いられる有機EL(OLED)ディスプレイの製造において、長年にわたり課題とされてきたのは、プロセスの高コストと大型装置の存在である。パナソニックは、これらの壁を打ち破る「産業用インクジェット技術」を開発し、OLEDディスプレイ製造に革新をもたらした。権威ある「第71回(令和6年度)大河内記念技術賞」を受けた新技術。
不可能を覆した要因とは? その先に見据える未来とは? 技術開発をけん引したパナソニック プロダクションエンジニアリング株式会社の部長・吉田英博、主幹技師・中谷修平、課長・臼井幸也に話を聞いた。
――今回受賞された産業用インクジェット技術の革新性を聞かせてください。
吉田: OLEDディスプレイのパネル製造で従来主流だった「真空蒸着法」は、大規模な真空装置が必要でコストがかさみ、特に大型への対応に課題がありました。しかし、私たちが開発したのはインクジェット方式で、真空ではなく通常の大気中で、心臓部であるRGB(赤・緑・青)の発光材料を、超精密なプリンターで「印刷」するように塗布する技術です。
中谷: インクジェット方式は、発光材料をインク化し、必要な箇所に必要な量を精密に塗布できるので、材料の使用効率が劇的に向上し、大幅なコストダウンが可能です。設備が比較的コンパクトでエネルギー消費も抑えられ、大型のガラス基板にも均一かつ高速に塗布できるので、高精細な大型OLEDディスプレイの生産効率を飛躍的に高めます。








































