September 12, 2025
「日の丸テレビ」は、なぜ敗れたのか? M&Aで見る業界興亡史
国内テレビ産業は、かつて「家電王国」を象徴する事業だった。日本ブランドのテレビが海外の家電売場を埋め尽くしていた時期もある。しかし、現在では国内家電量販店でも海外ブランドのテレビが並び、国産テレビもディスプレイパネルを海外メーカーから調達している有り様だ。なぜ、「日の丸テレビ」は没落したのか?2010年代以降に起こったテレビメーカーのM&Aから、その理由を探る。テレビ関連の事業売却が相次ぐ
2010年代半ば以降、テレビ事業の再編やM&Aが相次ぎ、産業構造そのものが大きく変化してきた。大きなトレンドは、海外資本による国内大手テレビ事業の再建である。
2010年代には日本製テレビの凋落は明らかになっていた。2011年にソニーは韓国・サムスン電子との液晶ディスプレイ合弁事業「S-LCD」を解消。保有する同社株をサムスンに売却した。ソニーはテレビの基幹部品であるディスプレイパネルの外部調達に舵を切る。
ソニーは2012年3月期に4567億円もの最終赤字を計上。特にテレビ事業は、売上高が前期比30.0%減の8404億円と大幅な減収だったのに加えて、原価率の悪化や持分法による投資損益の悪化などにより、2298億円の営業損失に。同社はコンテンツ事業に軸足を移すなど、脱エレクトロニクスの動きを加速させたのだ。
2015年にはパナソニックが液晶パネルとの競争に敗れてプラズマパネル事業を清算し、テレビ生産の効率化を図った。ソニー同様、韓国メーカーなどアジア勢からのディスプレイパネル調達に踏み切る。
両社は「ポスト液晶」の本命とされた有機EL開発から撤退。それぞれの事業部門を切り出して、2015年に有機ELメーカーの「JOLED」が発足した。
「日の丸テレビ」の買収で成長する海外メーカー
こうした日本勢の「落日」を受けて、すかさず外資が動き出す。2016年に台湾の鴻海精密工業が経営不振に陥ったシャープを買収し、液晶テレビ「AQUOS」ブランドの立て直しに乗り出した。
鴻海の資本力と調達力を活かすことで、シャープは黒字化を実現し、テレビ事業も収益改善の兆しを見せた。しかし、2024年に主力の液晶ディスプレイパネル生産拠点だった堺工場を閉鎖。ソフトバンクやKDDIに工場の土地や建物を売却している。
2018年には業績が悪化した東芝が映像事業を中国のハイセンスに売却し、「REGZA」ブランドが外資傘下に移った。国内の生産拠点やブランドは残るものの、資本の主体が海外勢へ移っていく過程が鮮明となった。






































