March 06, 2026
【シャープ】なぜ「液晶王国」は変われなかったかー明暗を分けたM&A戦略
シャープ<6753>は1973年に世界初の液晶電卓を発売して以来、「液晶のシャープ」として成長した。1980〜90年代にはノートパソコンや携帯電話向けに液晶を供給し、2001年には液晶テレビブランド「AQUOS」を投入。世界最大級の液晶工場を持ったシャープは、2000年代中盤には液晶テレビで世界シェアトップに立つ。ところが、2010年代前半にはシャープの業績は低迷。そこにはM&Aが関わっていた。
巨額M&Aで事業転換した電機メーカー
シャープが頂点に立っていた頃、国内電機メーカーはM&Aを通じて事業構造を大きく転換しつつあった。ソニーグループ、日立製作所、パナソニックホールディングスなどは巨額の買収を重ね、ITサービスやコンテンツなど成長分野へ事業をシフトしている。
一方、シャープは同じ電機メーカーでありながら、M&A戦略ではまったく異なる道を歩んできた。その結果、2016年には、台湾に本社を置く世界最大手EMS(電子機器受託製造サービス)の鴻海精密工業の傘下に入るという、日本電機史でも異例の展開を迎えることになる。
2010年代以降、日本電機大手はM&Aを成長戦略の中核に据えてきた。ソニーグループは、映画や音楽などコンテンツ事業への投資を加速させている。2022年には米ゲーム会社Bungieを約4800億円で買収するなど、IP(知的財産)を軸にエンターテインメント企業へと変貌を遂げた。
日立製作所はさらに大規模な再編を進めている。2019年にはスイスABBの電力事業を約7000億円で買収し、2021年には米IT企業GlobalLogicを約1兆円で取得した。ITと社会インフラを融合した「デジタルインフラ企業」へと転換している。
パナソニックホールディングスも同様だ。2021年にサプライチェーンソフト企業Blue Yonderを約7800億円で買収し、製造業からBtoBソリューション企業への転換を進めている。これらの企業に共通するのは、M&Aを通じて「事業ポートフォリオそのもの」を変えた点だ。
シャープのM&Aは小規模にとどまった
これに対し、シャープの買収規模は日立やソニーなどと比較して、極めて小さい。2012年に液晶価格の暴落でシャープの業績が長期凋落を余儀なくされていることもあって、同時期には逆に多くの資産を売却している。太陽光発電事業のRecurrent Energy、メキシコのテレビ工場、欧州テレビ事業などを次々と手放した。M&Aを通じた拡大というより、むしろ事業整理が中心だった。
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