昨年3月、国主導でつくられた有機ELディスプレーのメーカーが337億円の負債を抱えて経営破綻(はたん)した。この会社には1390億円の税金がつぎ込まれたが、8年間で一度も黒字を達成できずに終わった。在籍した技術者はこう証言する。「はじめから勝算は全くなかった」。失敗はなぜ起きたのか。会社設立に動いた人々の「幻想」を追った。
経営破綻したのは「JOLED(ジェイオーレッド)」。パナソニックとソニーの有機ELディスプレー事業を統合する形で、2015年1月に誕生した。
「世界最高水準の技術を結集し、有機EL分野のリーディングカンパニーを目指す」 発足当初の資料には、そんな言葉が並ぶ。
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