’19年4月1日に開設したJOLED千葉事業所(千葉県茂原市)内に製造ラインを設け、有機ELディスプレイ月産約22万台の生産能力を備える「後工程」製造拠点を構築する。製造ラインの設置には、INCJ、ソニー、NISSHAを引受先とする第三者割当増資により調達した総額255億円の資金の一部を活用する。
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液晶・有機EL・プラズマ、FPD業界・パネルメーカー・関連企業情報を掲載。当ブログで激しい市場動向に追随!--Since Nov.2004
次世代ディスプレイのキーデバイス「有機ELパネル」の開発で、日本は韓国に大きく水をあけられてしまっている。しかし、日本勢が反撃する余地はまだ残っている。いや、場合によっては有機ELの勢力図を大きく塗り替える可能性も秘めた技術を日本企業は持っている。その筆頭格・JOLEDの取り組みを、技術経営の専門家・中田行彦氏がレポートする。
完敗の日本勢に挽回の機会はあるのか? 可能性はあると思っている。 日本の独自技術の芽が出てきているのだ。
1つは、新しい有機EL材料の開発で期待されているのが、九州大学の安達千波矢教授が発明した「熱活性化遅延蛍光(TADF)」と、その実用化を目指す九州大学発ベンチャー「Kyulux」(キューラックス)の躍進だ。
パナソニックとソニーの有機EL事業を統合したJOLEDが、世界初となる低コストの「印刷方式」で生産した高精細の有機ELパネルの量産に平成31年度にも乗り出す。印刷方式は有機ELで先行する韓国勢の「蒸着方式」と比べ、製造コストを2~3割下げられるのが特徴だ。
--昨年12月に印刷方式で生産した中型の有機ELパネルを初出荷した
「27年1月にJOLEDが発足したが、次世代技術の有機ELパネルでどう先行メーカーに対して勝ち得るか、有機ELを普及させることができるかを議論し、世界初の印刷方式に挑戦する方針を打ち出した。この3年の研究開発は当然失敗だらけだったが、製造プロセス、設備、材料、生産管理などで知見を蓄積し、次につながる技術の進化ができたと思う。
スマートフォン向け、テレビ向け、ともに韓国勢に市場を押さえられている有機EL。かつては有機ELの開発に注力していた日本にとって、印刷方式の有機ELを世界で初めて実現し、量産も始めたJOLEDは最後の希望だ。小寺信良氏が、JOLEDの印刷方式有機ELの可能性と、今後の同社の展開を探る。
JOLEDは、かつて有機ELの研究開発を行っていたパナソニックとソニーの技術を統合、そこに液晶ディスプレイのジャパンディスプレイ(JDI)の技術も融合する形で2015年に誕生した、新しい会社である。これまでの有機ELパネルとは製造法が根本的に異なる方式で、2017年末から製品の出荷を開始した。
“日の丸液晶連合”ジャパンディスプレイ(JDI)に、世界唯一の次世代パネル生産技術を育てる力はもはや残っていなかった。経営再建中のJDIは3月末、今年6月までをメドとしていた有機EL(OLED)の開発製造会社、JOLED(ジェイオーレッド)の子会社化を取りやめると発表した。
2018年3月期も、工場の稼働率低迷で限界利益率が下がったことに加え、人員削減に伴う早期割増退職金の計上、さらに工場の減損などがのしかかり、通期では2000億円超の最終赤字に沈みそうだ。企業が自由に使える資金であるフリーキャッシュフローも、5期連続でマイナスが続く見込みだ。
台湾ASUSTeK Computerは、CES 2018が開催されている会場近くのホテルで、CESに合わせて発表された製品の展示を行なった。
このなかでASUSは、JOLEDのRGB印刷方式有機EL技術で製造された有機ELパネルが供給されると明らかにされた「ProArt PQ22UC」も展示していた。
ProArt PQ22UCは、既報のとおり、JOLED製21.6型4K UHD(3,840x2,160ドット)の有機ELを採用しており、最大輝度350cd/平方m、HDR10に対応したディスプレイ。コントラスト比は100万:1を達成し、DCI-P3比99%という広色域をカバーしている。
日本経済新聞は2017年10月4日、JOLEDの工場投資およびジャパンディスプレイ(JDI)の再建計画について報じた。報道された内容は以下の通りである。
まずJOLEDの工場投資については、ソニーやキヤノン、富士フイルム、ニコン、住友化学など、完成品や部材、装置などを手掛ける国内数十社に対して出資を打診し、1000億円を調達するという。これを原資に印刷方式の有機ELパネルの量産工場に投資し、2019年に量産を開始する計画。量産にはJDIの能美工場を活用する。
JOLEDには産業革新機構が75%、JDIが15%、ソニーとパナソニックが5%ずつを出資している。
経営が混迷の度を深めていることを、周囲にまざまざと見せつけるかのような人事だった。 スマートフォンなどに使われる中小型液晶の最大手、ジャパンディスプレイ(JDI)は、今年6月の株主総会を経て、本間充会長兼最高経営責任者(CEO)が退任する人事を発表した。
三洋電機出身の本間氏は、2015年6月にJDI会長に就任。稼働が低迷する生産拠点を相次いで閉鎖するなど、最終赤字に苦しむ同社の構造改革に取り組んだものの、昨夏には企業にとって致命傷になりかねない資金繰り不安を招いてしまった。続きを読む »
JOLEDは、国際情報通信技術見本市「CeBIT 2017」(2017年3月20~24日、ドイツ・ハノーバー)において、2017年に試作した21.6インチで4K表示が可能な有機ELディスプレイパネルを展示した。同社が得意とするRGB印刷方式を用いて試作したものだ。
JOLEDは、有機ELディスプレイパネルの量産開発の加速と早期事業化を目的に、ソニーとパナソニックの有機ELディスプレイ開発部門を統合して2015年1月に発足した。その社名の通り日本の有機ELディスプレイ技術を結集した企業として知られている。
「また長いスタンプラリーが始まるのか…」。JDIの主力生産拠点、茂原工場(千葉県茂原市)に異動した技術者はため息をつく。 茂原工場は日立から引き継いだ液晶パネル工場だ。従業員の多くは日立出身で業務手順は日立の仕組みを色濃く残す。「スタンプラリー」とは書類に関係部署の承認印を取り付ける作業を指す。
JDI設立から4年半たった今でも、スタンプラリーに象徴される社員同士の反目は今も続いている。ただでさえ、まとまりが悪いのに、JOLEDが加わったら一体どうなってしまうのか。 反目し続ける社員たちだが、JDI発足当初は理想を共有した「仲間」だった。
国産有機EL(OLED)の量産に挑む「JOLED」。同社でCTOを務める田窪米治氏が、国際会議「International Conference on Flexible and Printed Electronics(ICFPE)」(2016年9月6~8日、山形大学)でプレナリー講演を行った。本講では、その講演要旨と、筆者の考えを述べる。
現在多くの企業で採用されているのは蒸着方式である。真空環境で材料を加熱、気化させて、EL層を形成する。しかし、この方法は、プロセス環境を真空にするための設備が必要である。パネルの必要な部分にのみ膜を形成するために、マスクと呼ばれる遮蔽版を使うことになる。